秋先取り!芸術の秋に向けた!本場ロンドンの美術館レポート
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月が変わってめっきり秋らしい気候になり、暑い夏が苦手だった自分にはよい季節になってよかったと喜んでいるディレクターの佃です。
そんな芸術の秋にふわさしい美術館のレポートを今回はお送りします。
7月の夏休みに本場のイギリス・ロンドンに美術館巡りにいってまいりました。そんな中でオススメの「ナショナル・ギャラリー」、「テート・ブリテン」そして「コートールド・ギャラリー」の3つの美術館をご紹介します。
ナショナル・ギャラリー
所蔵コレクションの収集方法として、フランスの「ルーブル美術館」やイタリアの「ウフィツィ美術館」は王室コレクションの寄贈で成り立っているのに対し、イギリスでは、個人のコレクションをイギリス政府が買い入れする形で設立に至っています。ちなみにイギリスの王室コレクションは王室所有のまま、複数個所で所蔵・展示を行っています。
1824年、ペルメル街に開館した初代から数え3代目となる現在の建物は、建築家・ウィルキンスの設計によりトラファルガー広場に建設されました。年を重ねるごとに所蔵品が徐々に増え、ついに1897年、所蔵品の一部が「ナショナル・ギャラリー・オブ・ブリティッシュ・アート(現在のテート・ブリテン)」に移されました。1991年にセインズベリ棟が増築されて現在の形になっています。
イギリス国内外のコレクションが充実
世界3大画家と呼ばれるダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロを始め、日本でも人気の高いフェルメールやレンブラント、カラヴァッジョ、そして印象派の面々と幅広い時代の絵画を見ることができます。
数多い傑作の中でも見て欲しい絵は、イギリスを代表する国民的画家・ターナー作の「戦艦テレメール」。トラファルガー海戦でナポレオンのイギリス本土侵攻を阻止した立役者とされた戦艦ですが、約40年間の退役後、解体されるために最後の停泊地に曳航される姿を夕日を背に描かれています。2005年にイギリスで行われたBBCラジオの人気絵画投票でも堂々の1位にランクされたイギリス国内で最も愛されている作品です。
テート・ブリテン
「ナショナル・ギャラリー」の所蔵品が多くなり、その分館化を受け、「テート・ブリデン」の前身となる「ナショナル・ギャラリー・オブ・ブリティッシュ・アート」がイギリス美術専門館として1897年にオープンしました。のちにイギリス国外の作品も展示することで、1955年より「テート・ギャラリー」と改名、さらに2000年に、近現代美術専用の「テート・モダン」の分館化を折りに、「テート・ブリテン」として、再びイギリス美術専門館としてのリオープンに至っています。ちなみに、テートという名称は、開館に尽力したヘンリー・テート卿の名を冠しています。
幅広い年代のイギリス美術・至宝が集結
ターナーを筆頭にコンスタブル、ホガースから、20世紀以降のホックニー、ベーコンなど幅広い年代のイギリス人を中心とした美術家の作品が展示されています。
そんな中ここで見て欲しい絵は、ラファエル前派を代表する画家・ミレーの「オフィーリア」。シェイクスピア「ハムレット」で登場する、度重なる悲しみに正気を失ってついには川で溺れてしまう悲劇のヒロインを描いています。ラファエル前派を代表する屈指の傑作として知られています。
コートールド・ギャラリー
有名なコヴェント・ガーデンの南に位置するサマセット・ハウス内の一角にコートールド・ギャラリーはあります。厳密にはロンドン大学附属コートールド美術研究所の美術館となります。ギャラリー名の通り、実業家のサミュエル・コートールドのコレクションが美術館の基盤をなしています。前述の国レベルで運営している美術館に比べると規模は小さいですが、3階まである展示ルームは、建物や内装まで含めて、趣きのある装飾になっています。
フランス印象派のコレクションが秀逸
ルネサンス中期、印象派、そして20世紀まで含めての展示内容ですが、ここでは、当時まだ注目されていなかった印象派のコレクションが充実してます。ルノワール、ドガ、ロートレック、モリディアーニ、ゴッホ、セザンヌなど著名な作品を見ることができます。
ここで見て欲しい絵は、マネの「フォリー・ベルジェールのバー」。作者はフランス画家のマネ。後に印象派の父と称されるほど、印象派の画家たちに影響を与えた人物です。時代を先取りし過ぎて「草上の昼食」と「オランピア」は世間の物議をかもし出しましたが、本作品は亡くなるの前年に描いた絶筆で、晩年の代表作と言えます。先ほどご紹介したBBCラジオの人気絵画投票でも3位にランキングされた人気がある作品です。
感想
鑑賞日は日曜日でしたが、丁度よい空き具合でした。常設展示作品の写真撮影が可能(ナショナルギャラリーは不可)で、入館料も寄付金のみ(コートールドは有料)と、日本では混雑必至の作品群をゆったりした常設展で見ることができる、海外の文化に対する考え方の奥深さが違うところだと思いました。